新年御挨拶:緊急事態宣言によせて

元日の水屋。コロナ感染防止のため華手水にしました。

みなさま明けましておめでとうございます。

年が明けた1月7日より、再度緊急事態宣言が発令されました。
岩殿観音正法寺では、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意しながら通常通りご参拝や御朱印を承っておりますので、ご来山の際はマスクを着用いただき、手指消毒等にご協力をお願いいたします。
また、発熱があったり体調が優れない場合は参拝を控えていただくようお願い申し上げます。

さて、令和三年の干支は丑年となります。牛は日本人と古来から付き合いのあった動物でございます。
今のように車やトラクターなどがない時代、牛はとても大切な存在でした。
畑の土を耕すのにも牛の力を借りねばなりませんでしたし、重い荷物を運ぶのにも牛を頼っておりました。
農耕民族である日本人にとって牛は貴重な労働力であったのです。

馬と比べると、牛は足の早い動物ではありません。しかし、とても忍耐強く、温厚な生き物でもあります。
政治の用語では「牛歩戦術」という言葉があり、時間切れによって投票を無効にするためノロノロと歩く様子を牛に見立てた言葉です。
また「牛の歩みも千里」ということわざもあります。牛は、ゆっくりとではありますが、着実に一歩ずつ進むことでやがて千里の距離をも歩くことができます。あきらめずに努力を続ければ、いずれは成し遂げられるということを、歩みの遅い牛になぞらえたことわざです。

新型コロナウイルスの感染拡大は留まらず、もしかしたら迎えた新しい年が厳しいものとなってしまうかもしれません。
しかし、まだ来ない先々のことを心配して無為にすごすのではなく、今日この一日をしっかりと過ごすことが大切なのではないでしょうか。
牛のようにゆっくりと着実に。一歩ずつでも前に進めるように。
そのような一年を過ごしていただければ幸いに存じます。

心に不安を抱えたとき、必ず観音さまが傍に寄り添ってくださいます。
この一年がより良い年でありますよう、お祈り申し上げます。

合掌